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白滝大明神には、古くからの伝承があります。
地元船津町では、おじいさんおばあさんから白滝さんのお話をよく聞かされたものです。
そんな白滝さんの昔話を、地元の小学生の女の子が絵本に描いてくれていますので、ご紹介しながら、白滝さんの由来について、解説をしていきたいと思います。
この絵本は、今からおよそ30年ほど前に書かれました。
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昔々のことじゃった。
船津のしんべ川の上流に、白滝という滝があったそうじゃ。
村の人たちは、滝から流れる水を使って生活をしとったんじゃと。
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だが、黒蛇が住み着いてからというもの、黒蛇の毒が川に流れ、人々は困り果ててしまいました。
そんなある日、「お困りのようですね。」と言って、旅の坊さまが通りかかったと。
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村人たちは訳を話したそうじゃ。
「私が退治してしんぜよう。」と言って滝の上に立って「はんにゃーら」とお経を唱えると、(旅の坊さまは)みるみる内に白蛇に変わっていったそうな。
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そして(白蛇となった旅の坊さまは)黒蛇と戦い始め、黒蛇を追い出したんじゃと。
そして白蛇は滝つぼの中に住み着きました。
それから滝の水の中を汚すと白蛇のたたりがあるんじゃと。(おわり)
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伝承の解説:
およそ平安時代のころではないかと考えられているのですが、この地域では疫病や事故などが頻繁に起きていたようです。
伝承やこの絵本では、そうした状態を、黒蛇として伝えています。
絵本に登場する「旅の坊さま」は、仏僧とも、山伏とも、言われていますが、今で言うところの霊能者や風水師のような人物だったのでしょう。昔から伊勢神宮と隣接している力のある土地だったということもあり、この人物は、疫病や事故などの原因が、この土地の気脈の乱れであることを見抜き、その中心地である今の白滝さんの場所で、土地の気脈を通す処置を施しました。
白滝さんが、白滝さんとなったのはここからです。
土地のエネルギーの流れを、風水では龍脈と呼んだりしますが、人々に分かりやすいイメージとして、まさにぴったりだった象徴だった白蛇に例えたのだと考えられています。
それ以降、この地域は白滝さんの加護を受けながら、平和で、大変穏やかな生活ができる場所となりました。 禅僧と里登の話にもあるように、この地域の人々は長寿で元気な方々が昔から多かったようです。
また、この絵本にもあるように、つい数十年前まで、白滝さんから流れる川は、地元の人々から「神辺川(しんべがわ)」と呼ばれていました(現在は、国土の名称整理がおこなわれ、寺谷川・てらたにがわ、という名前になっています)。 いつからそう呼ばれていたかは不明ですが、おそらく、この伝承をきっかけにそのように呼ばれるようになったのではないかと考えられています。
こうした伝承や、山全体を神域とすることで「土地の気脈を再び乱してはいけないよ」という教訓を、この地域では代々伝えてきました。禅僧もそのことを理解して、守人としてこの場所で生きたのかもしれません。
こういった背景から、白滝さんに参拝されるみなさまには、白滝さんの気の流れを感じたり、身を委ねることをお勧めしています。大変、清らかな感覚を得ていただけることと思います。
また、同じ理由からゴミを残したり、忘れ物をしないようにお伝えしています。
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